20090121

1月初旬、新年会をどうするかという議題で話し合いが持たれた中で、誰からともなく飛び出した「酒とか鍋とか面倒臭え、うどんツアーにしようぜ」案が満場一致での採決を見た結果、先週末にお隣・香川県へのショートトリップが実行に移された。なお、この集団は前年も3回に渡ってうどんを食べるためだけに香川へ行っている。

本場さぬきのうどんは大抵の店で「うまい」と感じさせてくれるが、やはり微妙な違いが出るもので、自分のお気に入りは写真の「なかむら」で食べる釜玉うどんだ。周囲の半径数キロに渡って見えるものが川、田、民家の3要素で占められているという抜群のロケーションも評価が高い。さらに一切の営業スマイルを排除した名物のおばちゃんが出迎えてくれる。かといって剣呑な態度という訳では決してない。彼女にとって客にうどんを食べさせることは過去より続く日常でしかなく、近所の常連にとっても遠来の客にとっても「なかむら」を訪れるのはその日常性に立ち入るという経験に他ならないからだ。よって慣れない客はまずその放置プレイに驚かされる。うどんが入った椀を持たされたはいいが、その後どうすればいいのか。薬味は勝手に入れても大丈夫か。釜玉とは玉子をどのタイミングで投入するものなのか。何か網のようなものを持たされたが、これでどうしろというのだ。え、麺をこの中に?それで、ええと湯にくぐらせる……どのくらい?あのちょっと、

上記のような体験を経てやっと「なかむら」のうどんにありつける。外に出て風に吹かれながら食べるうどんは格別にうまい。うまいものを食べていると何やら気分も高揚してくる。横で夢中になって食べている後輩が、
「あーうまかった。オレちょっとウンコしたくなってきました」
などと明け透けな告白を残してトイレへ消えやがるので、周囲と顔を見合わせ、
「……あいつ撒くか」
一斉に車へと駆け込んで店を後にした。